床鳴り、床のきしみは、家が古くなった、地震や突風で建物が歪んでしまったといったことが原因で起こるわけではありません。新築でも床鳴りや床のきしみが発生します。その原因や対策、直し方・補修方法についてみていきましょう。
床鳴りの原因とは?
床鳴りにもいろいろな症状があります。音やきしみの状況に応じて、原因となるものが分かれています。それは構造の問題であったり、材料や施工法の問題であったりします。
床鳴りの症状
床鳴りにもさまざまな症状があります。
たいていの床鳴りは、木造のフローリングの床のときに発生します。フローリングで床の上を歩くときに、床がキシキシときしむ音がしたり、ブカブカした感じがしたりします。
こうした音が次第に大きくなると、床鳴りの音で目を覚ます家族がいたり、歩行時につまずいたりすることがあります。
そのままにしていると、床材が劣化し、床鳴りがひどくなっていきます。床板が劣化すると、補修工事も困難になり、費用も高くなります。
そして、床鳴りの原因がシロアリや湿気などが原因である場合は、早期に何等かの対処を行う必要があります。
構造の問題によるもの
床材の構造を見ると、独立基礎、大引と直行方向の細い水平材根太、太い水平材である大引、木束、床下地合板、床仕上げ材などの6層構造が基本です。上下方向に6層構造になっています。
水平方向は、根太が30~45センチの間隔、大引・束も90~100センチの間隔で設置されています。
こうした床材の複雑な構造を見ると、至るところに床鳴りや床のきしみが発生する箇所があるということがよくわかります。
経年劣化以外の原因では、根太のピッチや高さの不足、大引の強度不足などが考えられます。
また、大引を支える床束の不足も床鳴りの原因となることがあります。
根太や床下の土台が水平になっていないと、いろいろな箇所に隙間が生じ、きしみ音が発生します。
床全体の構造の強度が不足していると、人が何度も歩いているうちに、少しずつ傾くことがわかっています。
これが、床鳴りやきしみ音の原因となります。
材料や施工法の問題によるもの
床鳴りは、他にも材料や施工法による施工時の問題も考えられる要因となることがあります。
根太と床材の接着不良、梁や大引の経年劣化による木やせ、フローリングやフローリング接合部の膨張や収縮による隙間の発生、大引と床束の間の浮き、床材を固定する釘のこすれ音「くぎなり」などです。
また、水回りの床のきしみはシロアリ被害のケースもあります。
これらの原因を特定するのは、専門家でなければ難しい場合もあり、ご自身で判断するのではなく、リフォーム業者や修理業者などに点検や相談を依頼することが重要です。
新築でも頻繁に床鳴りする場合
新築や築年数が数年しか経っていないのに頻繁に床鳴りがする場合は、欠陥住宅ではないかと考える方もいらっしゃいます。新築の場合の床鳴り、きしみ音の原因についてみていきましょう。
木造住宅で木材の膨張・伸縮が頻繁に起こっている
床鳴りは、木材がこすれ合うことで生じる音です。
新築住宅でも木造の場合は、常に木材は膨張と伸縮を繰り返しています。木は生きていますし、吸湿や放湿を繰り返しています。時間がたてば、その木材も次第に彎曲し、変形していきます。
こうしてその床材の上を歩くと、木と木がこすれ合うことで床鳴りが発生します。
築数年でもこうした木材の変形が見られると、床鳴り、きしみ音が発生します。
新築によくある施工法による床鳴り原因
新築に住んですぐに床鳴りが発生する場合は、木材に問題があるのではなく、フローリングと土台の接着不良が原因となっていることがあります。
この箇所は少しでも隙間や空間ができると、床鳴りが発生してしまいます。
初期不良として、コーキング剤を隙間に注入して床鳴りを解消する補修工事が行われます。無償修理で対応するハウスメーカーも多いはずです。
原因の特定が難しいので必ず保証期間内に床鳴り解消を
床鳴りは、その原因の特定が難しいために、放置していると修理に高額な費用がかかることがあります。
フローリングの表面的な問題であれば、修理も簡単ですが、床板や根太などの木材が床鳴りの原因となっている場合は、床下点検や床板を剥がす作業が必要です。大がかりな工事となることもあるので、必ず保証期間内に床鳴りトラブルを解消するようにしましょう。
困っているからといって安易に飛び込み業者に相談するのではなく、必ずメーカーに補償範囲内での点検や補修工事を依頼してください。
これだけある床鳴り対策
床鳴りやきしみ音は、偶然発生するというよりも、湿気や乾燥などの根本的な発生原因があり、さまざまな要因が重なることで引き金が作られ発生しやすくなっています。
ここでは、床鳴り予防策として考えられる方法について紹介していきます。
できる限りの湿気対策を
木材の変形は、湿気と乾燥が繰り返されることで、吸湿や放湿により木材の膨張と収縮を発生させてしまいます。屋外や室内もいつも適度に乾燥した状態になっていれば、木材も安定した状態を保つことができます。
屋内に湿気がこもると木は傷みやすいことがわかっています。
天気がよく、心地よい風が吹いている日は、必ず窓を開け放ち、家中に風を通すようにしましょう。
梅雨の時期や雨の多い地域は、除湿機を使用してください。
冬場の乾燥する時期には、逆に加湿器を使うようにし、湿度を一定に保つ工夫が必要です。
フローリングの取り扱いや掃除について
フローリングは、木材ですので丈夫でが、逆に湿気には敏感です。
掃除をする際には、水拭きを避けてください。木材に水分が吸収されてしまい、木材の膨張と収縮の原因となってしまい、音鳴りが発生しやすくなります。
フローリングの床を掃除する場合は、固く絞った水気のないぞうきんなどで拭き取るようにしましょう。できれば、乾拭きがおすすめです。
飲み物をこぼした場合も、そのまま放置せずにすぐに拭き取るようにしましょう。水分の拭き取りが遅くなると、木材の内部にまで水分が染み込み吸収されてしまうからです。
フローリング床材の保護はワックス掛けなどが有効
フローリングの床材は、高い人気があります。木の温もりが感じられますし、今やどんなお住まいにも取り入れられるようになっています。
しかし、床材の表面がむき出しの状態では、家具を引っかけたり、物を落としたり、水をこぼしたりして、汚れや傷がつきやすくなっています。特に木についたひっかき傷などは、傷が深いと修復不可能です。
そのため、定期的にワックスをかけたり、フローリングの床の表面をカーペットで覆うなどでして、表面を保護するようにしましょう。特に長期間水分を含むと、床鳴りやきしみ音の直接の原因となってしまうことがあります。
ちょっとした配慮と工夫で、フローリングも長持ちし、気になる音鳴りも発生しにくくなります。
床鳴りを直す方法と補修費用
日常の床の音鳴り予防対策を行っていても、床鳴りや床のきしみ音が解消しない場合は、DIY補修を施したり、プロの業者やリフォーム業者に修理を依頼するしかありません。
床鳴りを直す方法や補修費用の目安などについて解説していきます。
木材の経年劣化は避けられない
毎日室内の湿気に気を配り、床のお手入れをしていても、やがて木材も経年劣化し、床のきしみ音や音鳴りが発生します。
音が小さいうちは、DIY補修により市販の補修材を使って一時的に音をなくす方法があります。
フローリングの接合部を見ると、隙間が生じているような感じなら、土台の木材が変形し隙間が生じたり、釘が浮いて隙間が生じたりしています。市販のフローリング材に適した補修材があり、手頃な価格で購入でき、簡単に補修できます。
それでも床の音鳴りが解消しない場合は、プロの修理業者に補修を依頼してください。
隠しくぎを使った補修方法
隠しくぎは、通常の釘よりも細い釘です。そして、釘本体にクッション材がはめられている点が、通常の釘との大きな違いです。
また、釘を打ち込んだ後、頭部が取れるようになっています。頭部が取れるため、釘を打ったことが目立たなくなるので「隠しくぎ」という名称がついています。
隠し釘を打つと、フローリング材と根太材との隙間がなくなり、木材同士のこすれ音が出なくなります。
使用する際の注意点は、きしみ音の原因となっている箇所を特定することが難しいことです。隠し釘を打つことは誰にでもできる簡単な作業です。
フローリングなどの床専門の補修業者
これまで紹介してきたように、フローリングの音鳴りやきしみ音は、自分でも直すことができます。
しかし、根本的な原因を特定することは難しく、DIY補修が失敗に終わることもよくあることです。
失敗しても、フローリングや床を専門とするプロの補修業者がたくさんあります。
優良業者選びには少し苦労するとは思いますが、プロの補修工事が最も安心できます。保証がついた工事を行う業者や地元の業者など複数の業者に見積り依頼をしてみましょう。
一か所数千円で補修できる補修業者が多いようですので、フローリングの全面貼り替えなどの大規模工事以外で、通常は高額な費用を取られることはありません。
補修費用が高額になるケース
音鳴りの原因となる箇所が分かっている場合は、フローリング材に穴を開けたり、剥がしたり、床下も潜ったりするような工事が行われます。
釘や金具の締め直し、補修材の注入、潤滑油の塗布などの補修工事は、一か所なら各数千円~1万円前後で済みます。
しかし、床下地がシロアリの被害を受けていたり、腐食が進んでいたりすると、修理ではなく、床下全体の補修やフローリングの貼り替え工事が必要です。その場合は、床の面積にもよりますが、工事全体で50~80万円の費用がかかります。
まとめ
新築なのに床鳴りや床のきしみ音でお悩みの方も多数いらっしゃいます。
床鳴り、床のきしみは、経年劣化が全ての原因ではありません。新築でも施工法が問題となり発生することがあります。
その原因や対策、直し方・補修方法についてまとめました。