住居用のコンテナハウスの需要が増えているそうです。コンテナハウスは、移動や増設も自由自在です。ライフスタイルに合った住宅を希望されるなら住居用のコンテナハウスがおすすめです。気になる断熱性やメリット・デメリットについて解説します。
常識を覆す住居用コンテナハウス!
コンテナハウスといえば、真夏は暑そうだし、冬場は日本なら底冷えしそうな巨大な鉄の箱のようなイメージがあるのかもしれません。
しかし、住居用に改築されたコンテナハウスも販売されるようになっており、ライフスタイルの変化により、小さくてコンパクトな間取り、そして自由自在に移設・増設できることなどが人気を集めています。
そのままでは使えない鉄板コンテナハウス
荷物置き場や駐輪場としてそのまま使うこともできるコンテナハウスですが、住居用になるとそのままでは使うことができません。コンテナハウスは、剛接合した鉄の枠組みです。住宅に喩えるなら、重量鉄骨造りと同様だと考えてください。
見た目はコンテナハウスですが、外側と内部に断熱工事を施すことで、室温や湿度を一定に保ち住みやすい住環境を整えることができます。
国際標準規格のコンテナハウスを活用し、オリジナルの断熱材や外壁塗料を施せば、一般住宅以上の快適な居住空間を生み出せる専用のコンテナハウスも登場しています。
コンテナハウスを利用したホテルを体験
コンテナハウスのお住まいを検討している方は、実際に泊まることができるコンテナハウスを利用したホテルを体験してみましょう。
宮城県名取市には、「バリュー・ザ・ホテル 仙台名取」というホテルがあります。
こちらは、なんとモジュール工法を使用したコンテナタイプのホテルです。中古の海上コンテナを活用したホテルですが、室内はいたって普通のホテルと変わらないそうです。着工4か月の短期間で完成したコンテナハウスのホテルですが、宿泊者にも好評のようで、空調も完備されていることから真夏の暑さや真冬の寒さに関するクレームはあまりないようです。
断熱材や外壁塗料などにより一般住宅よりも快適なコンテナハウス
コンテナハウスメーカーと手を組み、世界共通規格のコンテナを日本の気候や建築基準法に適応させるために、オリジナル内外装を施したコンテナハウスメーカーも登場しています。
メーカー独自の断熱材や外壁塗料を使い、コンテナの高い気密性を併せ持つ優れた住環境が提供できるようになっています。
一般住宅よりも快適なお住まいになるだけではなく、20年や30年といった長期の居住にも耐えられる高い耐久性を持つオリジナル住宅として、多くの方からの問い合わせが増えています。
移設も簡単!自由度も高いコンテナハウス
コンテナハウスは移設が可能です。開口部の位置やサイズも自由自在であることから、さまざまな建築プランが提案できます。さらに移設できることから、設置場所の条件次第ですが、引っ越しする場合でもそのままの状態で運搬し移設することができます。
気になるコンテナハウスの断熱性能
コンテナは、鉄板でできた鉄の塊のようなイメージがありますが、構造は重量鉄骨造りと同じことから、骨組みだけを活用し、通常のお住まいとして活用できます。実際に住む前に、必ず断熱工事を行い、気温や湿度を調節しなければなりません。
内断熱と外壁断熱をどう活用するか?
コンテナハウスでは、内断熱と外壁断熱を組み合わせた断熱工事を行います。内断熱では、密閉方式と通気型方式があります。
断熱性能は、内断熱よりも外壁断熱のほうが高くなっています。さらにポリウレタンフォームによる断熱工事もあり、こちらは費用が上がってしまいますが、最も断熱性能が高い工法です。
一般的には、内断熱のみでも十分な断熱性能が発揮できるようになっています。
コンテナハウスに限っていえば、できる限り内断熱と外壁断熱を組み合わせて、快適な住環境を維持できるようにしたほうがいいでしょう。
コンテナハウスの内断熱
コンテナハウスでは、グラスウールとウレタンフォームが断熱材の素材として使用されています。
内断熱は、コンテナハウス以外でも一般に行われている施工方法です。断熱材が建物の内側にありますので、エアコンも効きやすくなります。内断熱には、密閉方式と通気型方式があります。
デメリットは、内断熱だけでは、外気温や日射の影響を受けやすいということです。そのため外壁断熱と組み合わせて断熱施工します。温度差による結露の発生も内断熱では起こりやすい現象です。
コンテナハウスの外壁断熱
外壁断熱は、コンテナハウスの外側に施す施工方法です。コンテナハウスの場合は、断熱材を貼った外装パネルを貼り付けます。外観だけではコンテナハウスには見えなくなりますので、コンテナハウスらしい外観をアピールできない場合があります。逆に、コンテナハウスとは思われたくない人には、外壁断熱はおすすめの断熱方法です。
断熱加工済みの外壁断熱では、結露も発生しにくく、気密性も高くなり、断熱性能も向上します。
しかし、シロアリなどの害虫が発生しやすくなります。内断熱に比べると施工コストは高めです。
気密性の高いポリウレタンフォームによる断熱
最後にコンテナハウスでは、最も断熱性能が高い施工方法をご紹介します。
それが、ポリウレタンフォームによる断熱方法です。気密性が最も高いので、断熱性能も上がります。
コンテナの内壁に直接吹き付けて発泡させ断熱させます。気密性が高いので、結露の発生もなくなります。
ポリウレタンフォームによる断熱施工の費用は、コンテナハウスなどの小さな場所に施工する場合は、比較的割高となります。
コンテナハウスを居住用に使用するメリット
住居用に使用されるコンテナハウスには、メリットやデメリットがあります。まずはメリットについて簡単にご紹介します。
移設・増設も可能で自由度が高い
コンテナハウスは、移動移設が自由にできます。といっても、トレーラーハウスのようにそのまま自動車で牽引して移動させるわけではありません。4トン以上のトラックやクレーンを使用しますので、移設費用は高額です。
しかし、開口部やサイズも自由に加工できますし、デザインも意匠性に優れた独自のコンテナハウスを作ることができます。
また、コンテナを増やすだけで増設可能です。
工期が短縮できる
工期が短縮でき、作業工賃も大幅に下がります。工場である程度作業を行うので、現場での作業は一日程度で上棟となります。
重厚感のある外観のコンテナハウス
コンテナの素材を活かした、無骨なイメージを演出できます。コンテナハウスの存在そのものに重厚感があり、外観を見ても他のお住まいに比べると全く異なった印象であることがすぐにわかります。
オリジナリティを重視する方に好まれるデザインが多いのもコンテナハウスのメリットです。
コンテナハウスを居住用に使用するデメリット
コンテナハウスを居住用に使用する前に、考えられるデメリットについてしっかり検討しておきましょう。こんなはずではなかった、といった後悔もなくなります。
また、事前にできる対策はしっかりやっておきましょう。
設置場所に移動することが難しい場合がある
コンテナハウスの設置方法は、簡単ではありますが、現場まで巨大なコンテナをトラックで運ぶ必要があります。
最低でも4トントラックが通れる道路でなければ、新しいお住まいの近くまで運ぶことができません。
さらにクレーンで吊り上げて設置します。背の高い障害物があれば、クレーンが使えない場合もあります。道路幅も4.5メートル以上必要です。
道路が狭い場合は、現地でコンテナハウスを組み立てることになります。
日本の建築基準法を満たすには逆に割高になることがある
コンテナは住居用に作られたものではありません。世界標準規格に則って製造されていますので、元は同じような大きさ、形のコンテナです。そのため日本の建築基準法を満たすように改造しなければなりません。内外装や断熱などの施工を行うと、サイズが異なる場合には、製造費が高くなってしまいます。
また、規格外のコンテナは、輸送費が割高です。
フラット35などの割安な住宅ローンが使えないことも
コンテナハウスが、戸建住宅よりも割高な場合もありますが、日本の建築基準法をクリアしなければ、フラット35などの割安な住宅ローンが利用できない場合があります。
特にフラット35は、住宅金融支援機構が定めた建築基準を満たす必要があるため、規格外のコンテナの場合は、施工費用が高額となる場合があります。
まとめ
コンテナハウスを住宅にと考えている方が気になる断熱方法やメリット・デメリットについて解説しました。
住居用のコンテナハウスの需要が増えていますが、移動や増設も自由自在で、新しいライフスタイルのお住まいを考えている人に好まれています。
コンテナハウスに住むには、改造や規格に合わせるための高額な費用がかかるといった、デメリットもありますが、実際には気に入って住んでいる方が多いようです。