一般に出回っている地図は、住宅地図です。通常の目的や郵便物を届けたい、住んでいる場所を確認したいなどの場合には、住宅地図を使います。
一方、土地の所有者を調べるには、いくつかの方法がありますが、無料のブルーマップを使って不動産に関する情報を調べる方法があります。
ブルーマップの基本、名前の由来
ブルーマップは、ゼンリンが発行する地番がわかる地図帳のことです。表紙は青色をしています。タイトルも英語で「BLUEMAP(ブルーマップ)」と名付けられています。
センリンが発行するブルーマップ
ゼンリンといえば、カーナビやネットの地図でもおなじみで、誰もが知る地図を作っている会社です。
ブルーマップは、サイズが大きな地図帳です。住宅地図に公図を重ねて、住所を元にして地番が調べられるようになっています。
通常の地図の上に、不動産に関する情報については、青色で表記されていることから、ブルーマップの名称がつけられています。
日本語では「住居表示地番対照住宅地図」と表記されており、サイズも大きいうえに価格が非常に高額です。家庭での利用目的で購入する方はほどんどいませんので、通常は見かけることのない地図です。
住所から地番がわかる
ブルーマップは、無料で利用できる場合があり、住所から地番を調べるときに使います。
ブルーマップは、無料で利用できる場所もあります。
しかし、インターネットで調べる場合には有料となっています。
その土地の正確な地番がわかれば、登記事項証明書を取得することができます。
住所だけでは、その土地の地番がわからないので、無料で利用できるブルーマップを使います。
不動産のことについて調べるときに使うブルーマップ
ブルーマップは不動産に関する仕事をしている方にはおなじみのツールです。
ブルーマップを使うと、土地の地番以外にもいろいろなことがわかります。
例えば、用途地域名、用途地域界、容積率、建ぺい率などです。
公図を取得する必要がない
ブルーマップは、通常の住宅地図に法務局で取得できる「公図」を重ねた地図のことです。
ブルーマップのおかげで、いちいち公図を取得する必要がなくなり、無料で地番を調べられるようになっています。
ただ、ブルーマップでもカバーできていないエリアがたくさんあります。市街地以外の田畑の多い地域や人の住んでいない地域では、大雑把な地図になっており参考にならない場合があります。
その場合は、別途法務局で公図を取得する必要があります。
ブルーマップでわかること
ブルーマップは、不動産業者の方や不動産に関する専門的な仕事をしている方にとっては、とても便利な地図です。不動産関連事業に従事する人ならブルーマップを見ただけでいろいろなことがわかります。
しかし、専門家以外の一般の方は、不動産の詳細情報を知ったとしてもそれほど利用価値は高くないでしょう。
最も多いブルーマップの利用機会といえば、住所から地番を調べるときです。
他にもさまざまなことがわかりますので、一つ一つ解説していきます。
不動産の専門知識が必要
ブルーマップを見るときは、不動産の専門知識が必要ですが、それほど難しい知識ではありません。
一般の方も利用することがありますので、基本的な不動産に関する専門知識を押さえるだけで読みこなすことができます。
例えば、地番、用途地域、容積率や建ぺい率などです。こうした特定の不動産情報に関しては、青色で表記されている点がブルーマップの大きな特徴です。
不動産についている地番がわかる
ブルーマップは住宅地図と公図を重ねて作られています。
住所に使われる「番地」は、人が住んでいる建物に割り当てられています。「地番」は不動産を識別するための番号です。正確な地番を知るには公図が一番です。
そして、住所から地番を調べるときにブルーマップが使われています。
住所となる公図の番地がわかる
番地は住所に使われており、地番とは全く異なります。番地は、人が住んでいる建物の玄関を元に割り振られています。
番地と地番が同じ番号になることもあります。
用途地域や用途地域界がわかる
用途地域は、日常生活では全く区別していませんが、ある土地には使用する用途が決められていて、指定された用途に合わせた建物しか建てられない地域のことを示しています。用途地域をまとめて表す場合は、後ろに「界」の言葉をつけて「用途地域界」と表現しています。
容積率や建ぺい率がわかる
ブルーマップには、建物を建てるときに必ず確認する項目となる、容積率や建ぺい率が記載されています。
これは敷地利用に関する制約になります。ブルーマップでは、パーセント表示になっています。
ブルーマップが無料で見られる場所
ブルーマップは、無料で見られる場所がいくつかあります。
しかし、法務局なら電話で無料対応してくれるようになっています。
その方法は、調べたい不動産が所在するエリアを管轄する法務局に電話をするだけです。
事前に住所を調べてから連絡すると待ち時間も少なくなります。
地番照会は、法務局に専用窓口が設置されていますので、すぐに対応してくれるでしょう。
この方法ならブルーマップを直接見る必要はありません。
国会図書館
国会図書館にもブルーマップを置いています。
しかし、国会図書館は、日本に2か所しかありません。
それに東京本館内でしか閲覧できず、館外への貸し出し、京都府にある国会図書館の関西館への取り寄せ、遠隔複写などもできません。地図室に全国の最新版が開架されています。
東京にある国会図書館にまで出向いて、調べたいブルーマップを閲覧するか、複写するしかありません。
規模の大きな公共図書館
全国にある都道府県や市区町村が運営する図書館、国立の図書館などでもブルーマップが所蔵されています。
地方の図書館では、全ての市区町村のブルーマップがそろっているわけではありません。各図書館において所蔵されているブルーマップの状況を確認してから、各図書館内の資料室などで利用可能です。
法務局
法務局でのブルーマップの利用した地番情報の照会は、全国どこにいても電話で問い合わせをすれば、調べたい不動産の地番情報がすぐにわかるようになっています。
しかし、もっと詳しい情報を知りたい場合は、直接法務局に行って、ブルーマップを参照するしかありません。
ブルーマップは、一冊3万円程度します。一冊では1地域の情報しか参照できません。定期的に更新されていますので、その都度購入するわけにはいきません。
法務局でもブルーマップの販売は行っていませんし、発行されている地域も限られています。
地番情報だけを調べる場合は、管轄の法務局への電話での問い合わせが確実です。
市区町村役場
ブルーマップは、日本全国全ての地域のものが存在するわけではありません。
ブルーマップがない地域もあります。
このような場合は、ブルーマップの代わりとなる「地積合成図」を使います。地積合成図は、市町村が固定資産税の課税のために作成されている資料です。名称は異なりますが、ブルーマップと同じような情報が記載されています。
土地の所在する市町村役場の固定資産税課で地積合成図のコピーが取得できます。
インターネットで見るブルーマップは有料サービス
無料でブルーマップを参照したい場合は、法務局の他、図書館の利用がおすすめです。ブルーマップがない地域に関しては、市区町村役場の「地積合成図」を照会するといいでしょう。
最後に、参考としてインターネットで参照できる有料のブルーマップについて紹介しておきます。
ゼンリン
ゼンリンでは、[住居表示地番対照地図データベース]ブルーマップデータベースのサイトで、土地を売買する時や、名義の変更などの手続きの際に必要となる公図をデータベース化し、提供しています。
ゼンリン住宅地図データベース「Zmap-TOWNII」と 組み合わせて活用することができます。
不動産取引業務や建築確認業務、都市計画の事前確認業務の効率化に最適です。
収録データは、地番、枝番、公図番号、公図界、用途地域名、用途地域界、容積率、 建ぺい率です。
インターネットでの提供エリアは、約400市区町村となっており、全ての市区町村がカバーされているわけではありません。
さまざまな機能と組み合わせて使用するため、不動産関連業や官公庁などでの利用が前提です。費用も数十万円以上します。
地図情報の取得は、ゼンリン公式オンラインショップで購入できます。1エリア数万円程度の価格がついています。冊子版やファイル版の両方の取得が可能です。
ブルーマップネット配信サービス JTN MAP
ブルーマップネット配信サービス JTN MAPは、法務局よりも安く登記情報が取得できるインターネットサービスです。JTN MAPは、日本で初めて開始されたブルーマップのASP配信サービスのことです。
ブルーマップネット配信サービス JTN MAPは、JTNマップと登記簿図書館が一体化されたものです。登記簿図書館は、法務局より登記情報を安く便利に利用できるサービスです。表札名のあるブルーマップは、一時利用では1件600円で利用できます。個人宅で表札名のないブルーマップなら全国無料で閲覧できることも知っておきましょう。
TAS MAP
TAS MAPは、土地建物の評価や財産評価などの不動産鑑定評価手法に基づく査定が誰でも簡単に取得できるインターネットのサービスです。
TAS MAPのレポートは、そのまま評価証明書として出力できますので、国税局などへの提出書類としても利用可能です。
ゼンリンの最新の住宅地図や道路地図を使っています。宅地エリアはほぼ日本全国の土地建物評価が可能です。
サービスは24時間利用でき、調査結果や地図の表示、レポートの出力などは、数千円~となっています。
まとめ
住所から地番が探せる「ブルーマップ」は、土地の所有者を調べられるだけではなく、不動産に関する情報も知ることができます。ブルーマップは高価なため、日本全国のブルーマップを取り寄せることはできません。
ここでは無料で利用できる方法をいくつかご紹介しました。インターネットでも有料ですが、数百円~数千円で利用可能です。