不動産の売却は、想像以上に期間を要します。希望価格で売りたいと思うならなおさら時間をかけて買い主を探さなければなりません。しかし、時間のない方やすぐに現金化しなければならないケースでは、不動産の買取も検討することをおすすめします。
1急いでいる方ほど不動産買取をおすすめします
不動産買取は、買い主を探す必要がなく、不動産会社に直接売却する方法ですので時間を短縮できます。しかし、不動産会社は、買い取った不動産を別の買い主に売却するため、諸費用や広告費用、リフォーム代、売却益を乗せて売ります。そのため一般の購入者の購入価格よりも低くなってしまいます。
目安は、売却価格の査定金額の8割程度です。売りにくい物件であればもっと買取価格が低くなってしまうこともあります。
不動産の買取は、短期間で売却する方法としては優れた方法です。メリットやデメリットもありますので、売却と買取がどちらがいいかをよく比較し確認したうえで不動産の買取を選択することが大切です。
売却を急いでいる方ほど不動産買取のメリットを感じることができますし、買取後のトラブルも全くなく安心して利用できるためよく利用されています。
2不動産買取のメリットとは?
不動産買取で考えられるメリットについて解説します。買取以外にも仲介による売却もありますのでよく比較し参考にしてください。
2.1不動産仲介会社が買い手で仲介手数料が不要
不動産の売却では、売買契約が成立した場合、売却時に仲介会社に仲介手数料を支払います。
ところが、買取は仲介ではなく不動産会社に直接売却する方法ですので仲介ではありません。そのため、仲介手数料が不要となります。不動産の買取では、買い手を見つける必要がないので、広告費などの諸経費も全く不要です。売却の仲介であれば、広告宣伝費などを使った売却活動が必ず必要になり数か月間の期間も要します。売却活動の手間が減るうえに仲介手数料や広告費も不要となり不動産会社も売主もメリットを享受できます。
2.2現状渡しで荷物も引き取ってもらえる
不動産の買取では、現状そのままでの引き渡しでもOKです。部屋が汚れていても、リフォームしなければ買い手が付かないような物件でもそのままの状態で引き取ってもらえます。部屋の残置物などがあってもゴミの処分なども全てお任せで処分できます。その分買取価格を下げられてしまいますが、あえて売主がリフォーム費用やクリーニング費用を負担する必要がありません。そのままの状態でも問題なく不動産会社による買取の契約が成立します。
売却後の瑕疵担保責任も免除されます。シロアリや雨漏りの発生、給水管のトラブルなどが売却後に見つかったときも、不動産買取で買い手が不動産会社であった場合は、修繕費用などが免除されます。一般的な瑕疵担保責任期間は、2~3か月とされています。短期間ではありますが、売却後になってトラブルを避けたい場合は、多少買取価格が下がっても不動産買取をおすすめします。
2.3短期間で不動産の現金化ができる
不動産物件の売却にあたり、買取を専門とする業者もたくさん存在します。買取ができる、という不動産会社が現れればどんな価格であっても必ず売却ができスピード現金化が可能です。最短で48時間で買取現金化できる、といった不動産買取専門業者もありますので、不動産会社の査定や条件次第では、驚くほど早く現金を手にすることができます。
これが売却であればなかなか買い手が見つからずに毎月諸費用がかかってしまったり、買い替え、住み替えまでの時間の余裕がなかったりすると売却活動がうまくいかなくなります。不動産買取は、時間的な制限のある方などが普通に利用していますし、確実に期限内に素早く現金化できる、というメリットが注目されています。
2.4他人に売却の事実を知られない
今居住している状態で不動産の売却活動を行うと、購入希望者と住んでいる方が顔を合わすことになります。また、ご近所の方にも住みながら売却活動を行っていることが知られてしまいます。
売却理由がどんなものであれ、その理由だけではなく「自分の家を売りに出している」ことはあまり知られたくないはずです。
購入者がなかなか現れないと次第に不動産物件が売りに出されていることが周囲にもわかってしまいます。引っ越しするまで売却の事実を秘密にしておきたい場合は、不動産買取が売却方法として最も最適です。販売活動を一切行わず、不動産会社と直接取引を行うため他人にも売却の事実を知られることなくご自宅を手放すことができます。
3不動産買取の流れ
不動産買取と仲介会社を通じた不動産の売却とではその方法が異なります。売却活動を行っても売れない場合は、不動産買取を依頼する場合もあります。そのような場合のために不動産買取の流れについても知っておきましょう。
3.1査定業者を選ぶ
買取を依頼する不動産業者の選択には十分に検討したうえで決定することが大切です。一番最初に行うべき作業ですが、業者選びで間違うと最終的な買取価格も全く異なるものになります。不動産の買取はそう何度も経験することはありません。できる限り、複数の買取業者に査定依頼を行い、通常の売却相場とよく比較して妥当な査定額を提示する買取業者がいいでしょう。
取引事例が多い場合は、口コミも参考になります。
一括査定サイトの利用は、掲載企業以外にも優良な不動産会社が多数存在しますので、最初はもっと選択肢を広げたうえで絞り込みを行うことをおすすめします。
3.2買取金額の査定や決定
各不動産会社に所有する物件の査定を依頼します。
提案された査定金額も参考にしますが、仲介業者が査定した場合の売却相場や近隣で同じような物件の取引事例を調べることで査定額を検討する際の判断材料とします。時間の許す限りいろいろなデータを集めることで、相場観を掴むことができます。
それでも査定額は、通常の売却価格の7~8割程度に落ち着くはずです。通常の売却価格よりも高い場合は、納得できる根拠があれば買取を依頼してもいいでしょう。最初から7割以下の価格を提案する買取業者は除いてしまってもいいかもしれません。
最終的に一社に絞り込んだ後も、最終的な買取金額の決定までに時間がかかることがあります。決裁の都合で時間がかかりすぎるようでは少し不安です。数日間で結論が出ないような場合は、別の不動産買取業者に切り替えたほうがいいかもしれません。買取業者の事前見積もりが甘かった可能性もあるからです。
3.3物件引渡しの条件を確認
買取金額が決定した後も安心してはいけません。まだ交渉できる事柄がたくさんあります。最終的な物件の引き渡し時に、売り手からも買い手からも両方の条件の提示を行うことができます。悪質な不動産業者になると、高い買取価格であったにも関わらず、契約条件を見るとさまざまな売り手に不利な条件が追加されていることがあります。
事前に必ず説明があるはずですが、売り手のデメリットについては詳しく説明しないことがあります。
よくある事例では、家財道具や空調機器の処分に関しての記載が曖昧であったり、放置されてしまったりします。後になってトラブルに発展することもありますが、契約後では無料で対応しない場合もあり注意が必要です。特に現金化を急ぐ方は、契約前の引き渡し条件をしっかり詰めておく必要があります。
3.4売買契約の締結と引き渡し
買取価格や引き渡し条件などをお互いに取り決めた後、最後は書面に全て記載し、売買契約書として契約の締結を行います。売買契約の際には、売り手と買い手がその契約事項を全て確認します。これまで取り決めたことが全て記載されていることを確認できたら、売買契約書にサインをします。取り消しはできませんので、再確認を怠らないようにしてください。
売買契約の契約後、物件の引き渡し時に入金が行われます。
ここまでが一般的な不動産買取の流れです。
4不動産買取で注意すべき点
不動産買取のメリットや大まかな手続きの流れをご説明しましたが、デメリットや注意点はないのでしょうか?次にご説明します。
4.1不動産買取業者はリフォームの実績で選ぶ
不動産買取の取引相手は不動産業者です。仲介ではありませんので一対一の取引です。プロの不動産業者だから法律的な問題も安心できるはずですが、中には悪質な不動産業者も存在します。その際は、トラブルが発生したり、何かと条件をつけて買い叩かれたりします。不動産取引に詳しくない方は、買取でも仲介業者を挟むことがあります。
また、リフォーム実績が豊富で、これまでの販売実績も多いことも選ぶ基準の一つとしておくといいでしょう。その理由は、買い取った不動産を高く売るノウハウを持っているからです。高く販売できるからこそ、買取時にも高く買い取ってもらえる確率が高くなります。
4.2瑕疵担保責任の問題
瑕疵担保責任の問題は不動産の買取であっても避けて通れない問題です。仲介の場合は、不具合や問題があった場合にその事実を隠していると詐欺とみなされることもあり、指摘された場合は必ず補償しなければなりません。具体的には修繕費を余分に払うことになり、不具合やトラブルを修理しなければなりません。
取引相手が不動産買取業者であっても瑕疵担保責任の免責になる場合とならない場合があります。この点は十分に注意するべきです。その他、トラブルの責任の所在などあらゆるパターンを検討し不動産業者によく確認しておいてください。
4.3必ず複数の業者に相見積もりを依頼
不動産買取では、査定依頼で複数の業者に相見積もりをお願いしても全く構いません。たとえ、長期間お住まいになっている庶民的な不動産物件であっても、取引額は高額です。早期売却の可能性があるなら、複数の業者に査定依頼や買取の相談をすべきでしょう。
一定の期限内で売却活動を行い、デッドラインが来たら、すぐに買取する不動産業者も存在します。あらゆる事態を想定し、タイミングのよい不動産の処分ができる優れたノウハウを持つ不動産業者を選ぶことが重要です。
4.4専門家を味方につける
不動産に詳しくない一般の方の不動産買取は、専門家を味方につけることで失敗することなく高値買取が実現します。
依頼する不動産買取業者はもちろんですが、税理士や司法書士、不動産鑑定士などの専門家にも相談しながら、売却や買取の手続きとその後のアフターフォロー、法律や税金などの手続きの問題も含めて専門家と協力したり、いつも相談できるような態勢で臨むと必ず成功します。
5まとめ
不動産買取は、所有物件を早期にスムーズに売却し現金化できる方法です。不動産買取のメリット、デメリット、注意点、手続きの流れなどについて解説しました。