ベランダやバルコニーがあるマンションならエアコンが設置できますが、通路側の部屋や室外機を置くスペースがないマンションの場合は、エアコンが設置できない場合があります。そんなときはどのように対処すればいいでしょうか?
Contents
エアコンはどんなマンションにも設置できるわけではありません
最近建てられたマンションなら全ての部屋にエアコンが設置できるように設計されています。しかし、古いマンションになるとエアコンの設置場所が限られていたり、エアコンそのものが設置できなかったりする場合があります。
建築後数年以内のマンションなら問題ありませんが、10年以上経過した中古マンションでは、エアコンが設置できない場合もあります。
中古マンションを購入する場合や賃貸マンションに住む場合は、各部屋のエアコンの設置条件を確認してから住むようにしましょう。
壁にエアコンの配管穴があるかどうか
マンションの部屋にエアコンを設置する場合は、本体以外にも室外機を設置する必要があります。何らかの方法により、エアコンの室外機を設置できれば、どんなエアコンでも設置できます。
しかし、冷媒管やドレンホースを室外機まで送る配管穴がなければ、エアコンが設置できない場合があります。
比較的新しいタイプのマンションでは、中和室などの外壁に面していない部屋のエアコン設置でも天井裏などに先行配管が行わていることがあるので、問題なくエアコンが設置できます。
管理規約により壁に配管穴が開けられない
古いマンションでは、そのままの状態ではエアコンが設置できない場合があります。
外壁に配管穴を開ければ、問題は解決できますが、外壁部分は構造体です。共有部分とみなされますので、勝手に穴を開けることはできません。穴を開ける工事は、「コア抜き」と呼ばれていますが、管理組合の許可が必要です。管理組合によっては、一定の条件を満たしていない場合は、許可が出ない場合があります。
マンション購入前や賃貸入居前に、後付けのエアコンの設置が可能かどうかを確認してください。
壁内(隠蔽)配管施工による設置
古いマンションでも、中和室や中部屋などのエアコン設置では、壁内(隠蔽)配管を施す工事を行います。
壁内(隠蔽)配管施工により、室外機をバルコニー側や共用廊下側などに設置することができます。
こうしたケースでも壁に配管穴があることが前提となっていますので注意を要します。
窓用エアコンが設置可能かどうか
窓用エアコン、ウインドエアコンなどは昔から販売されています。窓用エアコンは、通路側や窓のある部屋の窓際に窓掛けの冷風機を設置することができます。
窓用エアコンは、室外機と室内機が一体化しています。取り付けや取り外しは自分で行う必要があります。
窓用エアコンは、今も販売されており、比較的低価格です。運転音も静かになってきています。あまり使用しない部屋で、夏場の一時的な空調機の利用を考えるなら窓用エアコンで代用するといいでしょう。
エアコン用のコンセントが専用回路になっているかどうか
古いマンションで、エアコンの設置が前提となっていない設計の場合は、エアコン用のコンセントが専用回路になっていないことがあります。エアコンの冷房能力により、200Vや100Vなどの専用回路のコンセントが別途必要となります。安定したエアコンの作動のためには、30A以上の契約電流がなければなりません。
分電盤のブレーカーを落として、専用回路がどうかを確認してください。エアコンを購入したお店で専用回路の設置工事が依頼できますが、数万円の別途費用がかかる場合は、比較的安い値段でエアコン用コンセント設置業者を探すようにしましょう。
室外機の置き場を工夫しよう
後付けでエアコンを設置する場合は、室外機の設置場所の確保に一苦労します。
エアコンの室外機は、そこそこの大きさがあり、一定の基準以上の設置スペースを要します。
後付けであっても、水平に取り付けし、通気スペースを確保しなければなりません。直射日光や雨なども当たらないようにしなければなりません。室内機と室外機の距離はできるだけ近いほうが、温度のロスもなく、無駄なく冷暖房の効果が期待できます。
ここでは、室外機のスペースがなくても設置できる方法について解説します。
天吊りして設置
天吊りによるエアコンの設置方法は、実際にベランダに設置しているマンションも多いのでよく見かけるはずです。
ベランダの天井に架台を取り付けて、そこに室外機を設置します。ベランダの天井には、天吊り用のボルトがすでに取り付けられていることが前提です。ない場合は、新しく設置するしかありませんが、共用部分ですので管理組合の許可が必要となるはずです。
外壁に架台を設置する方法
ベランダがない場合でも、窓の部分から外壁にかけて専用の金具で架台を取り付け、室外機を設置することができます。
室外機の設置場所は、地面から2~3メートルの高さになり、脚立で取り付けを行います。
しかし、室外機が架台に囲われてしまい、通気のための十分なスペースが確保できない場合があり、冷暖房の効き目が弱まってしまうことがあります。
屋根の上に設置
部屋の窓の外にベランダではなく屋根が見える場合は、その上に室外機を設置する場合があります。
マンションでは少ない設置方法ですが、戸建住宅や木造アパートの建物の1階の屋根の上にはよく設置されています。
2台重ねて設置する方法
室外機を2段上下に重ねて設置する方法もあります。
横のスペースがなくても、縦の空間スペースがあれば、2台目のエアコンの室外機を設置することができます。
場所の節約ができますが、下段にある室外機は上方向への通気が制限されてしまいます。多少の電力効率や冷暖房効果が落ちてしまうというデメリットがあります。
1階に室外機を設置する「立ち下ろし」と呼ばれる方法
上層階にエアコンの室内機を設置し、1階の地面にエアコンの室外機を設置する方法です。その間は長い配管でつないでいます。
1階に室外機が設置できるスペースがあれば、問題なく上層階のエアコンの室内機が設置できます。エアコンの室内機と室外機との間の配管の距離が長くなるので、冷暖房効率や電力効率がかなり落ちるというデメリットがあります。
窓用エアコンなら設置できる場合がある
エアコンにも室外機が不要となる種類があります。それは窓用エアコンです。
窓用エアコンは、昔からあり、マンションやアパートでは今もよく使われています。
しかし、部屋の窓を少し開けたままにして、窓枠に乗せてエアコンを取り付ける必要があります。エアコンの取り外しは比較的簡単ですが、鍵を取り付けるなどの防犯対策を怠ることのないようにしてください。
窓用エアコンの特徴
窓のサッシに簡単に取り付けができる窓用エアコンは、値段も安く、室内機と室外機が一体化しています。
壁に穴を開ける必要もありませんし、必要な道具や部品は全てそろっています。
賃貸マンションの窓にも取り付け可能です。
窓用エアコンは、冷房性能も上がっており、運転音も扇風機の音と変わらない程度にまで抑えられています。
窓用エアコンの設置条件
窓用エアコンを設置するには、一定の条件をクリアしなければなりません。
その条件とは、部屋の窓の開き幅は約50センチ以上で、窓の高さは80~190センチの範囲内にあることです。
サイズはメーカーにより異なりますが、カタログで窓用エアコンのサイズを見ると、上記のサイズ以内でなければ窓用エアコンの設置ができないことがわかります。
ビルトインエアコンを選ぶ
後付けでも、リフォームやリノベーション工事により、ビルトインエアコンを設置することがあります。
機器の出っ張りがなく、すっきりとした印象になります。広めの部屋でも隅々まで天井からの風が行き渡ります。
タワーマンションでは、最初からビルトインエアコンが標準仕様となっているところが増えています。
天井裏のスペースに余裕があれば、ビルトインエアコンを埋め込む工事もおすすめです。
各部屋にエアコンが設置できるマンションを選ぶ
中古マンションを購入する場合や賃貸マンションに住む場合は、各部屋にエアコンが設置できる十分なスペースや配管穴とその数を確認することが重要です。特に配管穴は、後から壁に穴を開けようとしても管理組合の許可が必要になったり、穴を開けること自体許可してもらえなかったりします。
エアコンがないと生きられない、生活できない、と言う人は、最初から各部屋にエアコンが設置できるマンション、すでにビルトインエアコンが備え付けられているマンションを選ぶようにしてください。
古いエアコンは残置物である可能性
中古マンションには、古いエアコンがそのまま残っていることがあります。
マンション購入にあたっては、前の所有者が残していった残置物です。賃貸でも同様に前の入居者が処分せずに残していった残置物としてそのまま利用することができます。
しかし、故障時の修理やメンテナンス、消耗品の交換は実費です。賃貸でも残置物の場合は、大家さんは修理費用の負担をしてくれません。
古いエアコンは、そろそろ壊れる頃ですし、省エネ機能も一世代前のものです。電気代も高額になります。
古いエアコンは、購入前・入居前に処分してもらい、自分で新しいエアコンを設置したほうがいいでしょう。
新しいエアコンなら省エネ性能が高い
新しいエアコンは、省エネ性能も抜群に向上しています。電気代も抑えられます。部屋で過ごす時間が長い方ほど、エアコンの省エネ性能には敏感になったほうがいいでしょう。
中古マンションの購入前、賃貸マンションの入居前は、古いエアコンではなく、ぜひ、新しいエアコンを購入して快適なマンション生活を送るようにしましょう。
まとめ
エアコンが設置できないマンションを選んでしまうことがあります。
設置方法がいろいろありますので、工夫すればたいていのマンションではエアコンの設置が可能です。
配管穴や室外機の設置スペースがない場合は、通常のエアコンではなく、窓用エアコンを使ったり、リフォーム・リノベーション工事でビルトインエアコンを設置したりする方法があります。