「スープの冷めない距離」とは、うまい喩えです。親や兄弟、子供などの親子、親戚関係では、同居生活を送るよりも、「スープの冷めない距離」に家を建てたり、独立した二世帯住宅を建てることで、何かと便利でストレスも感じることはありません。そんな理想の「スープの冷めない距離」に建てる戸建住宅やマンションについて考えてみませんか?
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二世帯同居よりも「スープの冷めない距離」がなぜいいか?
仲の良い相手ほど、いつも喧嘩しています。仲が良すぎると人間関係もうまくいきません。「ヤマアラシのジレンマ」でも紹介されているように、人間関係はたとえ親子・親戚関係であっても、「スープの冷めない距離」がいいとされています。
近すぎず遠すぎない「スープの冷めない距離」
「スープの冷めない距離」はことわざではありませんが、いつの間にか日本でも使われる言葉になっています。「スープの冷めない距離」にある人間関係や付き合い方は、会いたいときにいつでも会えるという安心感があります。そうした人間関係ですが、決して希薄なものではなく、近いことでいつも意識することができお互いに顔を合わせるようになります。
せっかくの二世帯住宅も、親世代と子世代が同時に暮らすとなると、毎日喧嘩するような日々が続きます。お互いに「スープの冷めない距離」の住まいで暮らしているけれども、お互いのプライバシーには立ち入らないほうがうまくいきます。
二世帯住宅では、お互いの家を簡単に行き来できますが、2つの家を独立させて普段の暮らしは別々にしたほうがいいというわけです。
「スープの冷めない距離」ってどのくらい?
「スープの冷めない距離」は、辞書に載っているような言い回しではありません。親世帯と子世帯が近すぎず遠すぎない距離で別居しながら近住するといった関係、生活スタイルを指してそう呼んでいます。日本では、「みそ汁のさめない距離」という喩えをする人もいます。
ちなみに「スープの冷めない距離」はどのくらいなのかというアンケート調査をしたところ、近所に住むことが最も多く、その距離は、高齢になるほど縮まっていきます。30~40代の子世代の考える「スープの冷めない距離」は、600メートルぐらいです。その距離は60代以降の高齢者になるほど縮まっていき、200メートルぐらいが「スープの冷めない距離」となってしまいます。歳を取るほど人恋しくなるのか、足腰が不自由になり歩ける距離が少なくなるのでなかなか遠くに行くのも億劫になるのでしょうか?
いずれにしても「スープの冷めない距離」とは、主観的な距離です。もし二世帯住宅や親世代の近いエリアでの居住を考えているなら、ご両親に配慮しできるだけ近いお住まいを選ぶことをおすすめします。
現代にこそ必要な近距離別居
親世代から独立して暮らす人も増えていますが、核家族化の進んだ現代こそ「スープの冷めない距離」をおすすめします。
親世代と子世代が近くに住むことは、おかしなことではありません。完全同居するのは気が重い、将来は親の土地に住みたいと考えている方も最初から同居するのではなく、親世代の近くの土地に戸建住宅を建てたり、マンションを購入したりします。親世代にとっても子供が近くにいる安心感がありますし、共働き世帯ならなおさら親世代の助けが必要です。夫だけではなく、どちらかのご両親がお子さんの面倒を見ることも可能です。小さいお子さんがいるご家庭なら保育園や塾などの送り迎えも頼むことができます。いつも甘えてばかりいるわけにはいきませんが、協力してもらえる身内の存在は、他の人にはない安心感を与えてくれます。
夫の親OR妻の親どちらの親の近くに住むか?
夫の親の実家に近いお住まいだと、突然親がやってきて勝手に掃除していったり、お野菜などを置いていってくれたりします。
ありがたいときもありますが、迷惑だと思うこともあります。それでも夫のご両親が気にかけてくれていることに感謝したほうがいいでしょう。
妻の親の近くにお住まいがあれば、夫がいないとき、夫が残業で遅いときなどに、妻のご両親がやってきて、お子さんの世話をしていたり、長居したりすることが多いようです。
ほどほどに近いことで、ご両親が訪問しやすくなるのはメリットですが、お年寄りは時間が余っています。なかなか帰ってくれない場合もあるようです。
リフォーム・リノベーションによる「スープの冷めない距離」にあるお住まい
子育てを考えるなら自分が育った団地や住宅地に近い場所に、中古住宅を購入しリフォームやリノベーションを施して住む方も多くなっています。実家も近く「スープの冷めない距離」にマイホームがある、といった感じです。
自分が育った戸建住宅・マンションをリフォーム・リノベーションする
ご夫婦のどちらかが育った町にマイホームを購入し住むケースが増えています。自分が育った思い出の賃貸マンションや分譲住宅など、久しぶりに戻ってきたら、同じようにお子さんのいる世帯が多いことに気づきます。住み慣れた町だということもあり周辺に何があるかがよくわかっています。ご近所の方とのコミュミケーションもほどほどにありますし、ご実家が近いことからご両親の知り合いも多いため、全く知らないところに引っ越すよりもはるかに気が楽です。
団地や分譲住宅地は、数十年の時を経て、さまざまな世代の方が住むようになっています。
これまで住んでいた人がたくさんいる安心感
小さな頃出会った仲間も独立し、都心や地方都市の大学に行き、就職していきました。
しかし、親世代はまだ同じ団地や分譲住宅地に住んでいることが多く、帰ってきたら懐かしい顔をたくさん見かけるはずです。
ご両親はもちろん、ご近所の年配の方も多いはずです。これまで育った場所だからこそ、たくさんの慣れ親しんだ人がいる安心感は他のエリアのお住まいにはないメリットです。
人が集まる場所を意識して作る
実家に近いお住まいに住むと、何かと人が集まりやすくなります。お子さんもご夫婦もご両親もご兄弟も複数の世代のご家族が集まる場が生まれます。人が集まる場所を決めて、いろいろな人と関わりを持つようにしましょう。親戚やママ友の集まり、お料理教室、お子さんとそのお友達の集まる場としてのお部屋を決めておけば、「スープの冷めない距離」にあるみなさんの絆も自然に生まれます。
実家のそばで暮らす「スープの冷めない距離」の戸建て住宅
実家のそばで暮らす「スープの冷めない距離」の親子関係は、誰からみても幸せにしか見えません。戸建住宅でもあえて、同居や二世帯住宅ではなく、実家から少しだけ離れた「スープの冷めない距離」に住む便利さや安心感は、住み始めてわかってきます。
あくまでも家族がコミュニティの中心
コミュニティはご夫婦とお子さんを中心とした「家族」が中心です。
そして、「スープの冷めない距離」に親世帯やご兄弟が住むようなスタイルです。それぞれが独立しており、たとえお隣さん同士であっても、少し距離を置いて暮らすようなイメージです。何かあったときには、すぐに声をかけられるからこそ、安心して暮らせます。いざというときも助け合える関係は家族ならではのものです。
ストレスのない生活ができる
お隣に住んでいても、毎日顔を合わすわけではありません。お互いに干渉しすぎるのも問題です。ストレスにならないようにお互いのプライバシーを尊重し、余裕を持って暮らすようにしましょう。ご両親のお隣にお住まいを建てる場合でも、間取りや玄関などの配置には十分に打ち合わせをしたうえで、干渉しないように注意すべきでしょう。
お子さんは2つの家を自由に楽しめる!
お子さんにとって、身近にいろいろな大人が多いというのは、頼りになる存在がたくさんいるということにもなります。
お子さんは、ご夫婦以外の大人にも守られながらスクスクと育っていきます。
実家が近い、同じ敷地内であっても、お子さんは自由に行き来するはずです。ご両親とご夫婦のお住まいが近いと、ご両親もかわいい孫の面倒を見ることができます。共働きのご夫婦ならなおさらそのありがたみを感じられるはずです。
家賃補助を活用した高齢者向け優良賃貸住宅
独り暮らしの親がいる方は、今住んでいるお住まいの近くに親を呼んだほうがいいでしょう。これは今住んでいるお住まいの近くに親に住んでもらう方法です。賃貸にはなりますが、家賃補助が使える高齢者向け優良賃貸住宅です。
新築もリノベ物件も対象で緊急時対応も充実
高齢者向け優良賃貸住宅は、略して「高優賃」とも呼ばれます。高齢者向けの設備や病院に近い立地に特長があります。仕事が忙しい場合に高齢になった親の介護ができない場合は、高優賃のような高齢者向け賃貸がおすすめです。何よりも最長20年、最大40%も家賃補助が出ます。
高優賃の物件は、新築やリノベ物件も取り扱っています。介護施設ではないので、居住者が一人で生活できることが前提です。
介護施設と高優賃を併設した物件も登場しています。
緊急時や非常時にも対応しています。一定時間電気やガス、水道の利用がないと警備会社がかけつけてくれます。
その地に長く住んでいる人が対象
高優賃の物件は、手厚い家賃補助がありますが、その制度を利用するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
基本的にはその市町村に長く暮らしてきた人が優先して住めるようになっています。連帯保証人や身元引受人も必要です。
高優賃は人気があり、親だけではなく子の世帯からの問い合わせが多くなっています。
高齢の独り暮らしの親をお持ちなら、今現在、子世帯が住む地域の「スープの冷めない距離」にある高優賃に住んでもらうといいでしょう。
まとめ
「スープの冷めない距離」にあるお住まいは、現代の親世帯、子世帯が協力してうまく暮らすための一つの方法です。昔育った町にお住まいを購入する、新しい土地に独立した二世帯住宅を建てる、今のお住まいにある高優賃などの高齢者向けのお住まいに住んでもらうなど、いろいろな方法を模索し、親世帯、子世帯と共に協力しあって住むようにしましょう。